離婚協議,調停,審判 (親権取得,財産分与)

●離婚を検討する際のポイント

□離婚の主な方法   □各方法のメリット・デメリット   □離婚の理由
□親権        □財産分与(年金分割)       □慰謝料
□養育費       □婚姻費用             □面会交流

離婚の主な方法

協議離婚:夫婦で話し合って離婚届を作成し届け出る方法

[メリット]

話し合いで終わるのでお金がかかりません。合意の上で離婚するので、争いが残りにくいです。

[デメリット]

お金の面で不利な条件で離婚をさせられてしまう場合があります。
話し合いに応じて貰えず、離婚できないままずるずると時間が過ぎてしまうことがあります。


調停離婚:裁判所で、調停委員という第三者を入れて夫婦で話し合う方法

[メリット]

第三者に相手を説得して貰える場合があります。相手と面と向かって話をしなくても話し合いが出来ます。
裁判に比べて費用が安くすみます。

[デメリット]

毎回裁判所に行かなくてはなりません(1回あたり2、3時間かかります)
相手が話し合いに応じなければ離婚は出来ません。


裁判離婚:裁判所で、強制的に離婚をする方法

[メリット]

理由があれば強制的に離婚ができます。お金の面などで適正な条件で離婚できます。

[デメリット]

調停を必ず裁判より先に行わなければならないため、他の方法よりも時間がかかります。
弁護士に依頼する場合、他の方法よりも費用がかかります。

離婚の理由(離婚事由)

裁判離婚の場合には、法律で定められた離婚の理由が必要になります。
⇔協議離婚、調停離婚の場合は、理由は何でも問題ありません。

◆法律で定められた離婚の理由

① 不貞行為

② 悪意の遺棄

③ 3年以上の生死不明

④ 回復の見込みのない強度の精神病

⑤ 婚姻を継続しがたい重大な事由

◆離婚の理由の具体的な中身

①不貞行為とは、いわゆる浮気をされた場合を指します。

②悪意の遺棄とは、正当な理由もないのに生活費を入れない、実家に帰ったまま戻ってこない等、夫婦間に求められる、
 同居、協力、扶助(助け合う)の義務を一方が果たさない場合を指します。

③3年以上の生死不明とは、読んで字の如くですが、生死不明ですので、生きていることは分かっているが
 居場所が分からない場合などは、生死不明には当たりません(②悪意の遺棄を検討すべきでしょう。)。

④回復の見込みのない強度の精神病も読んで字の如くですが、
 離婚後の相手方の療養生活にある程度の見込みを立てた上でないと
 離婚が認められないケースが多いのが裁判の実態です。

⑤婚姻を継続しがたい重大な事由は、抽象的に言えば、婚姻関係が破たんしており、
 修復が著しく困難な場合を指すとされており、理由は様々です。最近の理由として多いのは、
 性格の不一致ですが、その他にも、相手方からの暴力(DV)、相手方が宗教活動にのめり込んでいる、
 ギャンブルなどの浪費癖、極端なセックスレスなど様々なものがあります。

親権

親権とは、子供を育てる権利くらいに思っていただければ宜しいかと思います。
離婚するときは、必ず夫婦のどちらかが親権者にならなければならず、裁判離婚の場合、裁判所が親権者を決めます。
裁判離婚では、親権をどちらの親が持つか争われることが多々あります。
その他、一度親権を決めたものの、親権者となった親がちゃんと養育をしない場合に、
親権者を変更すべきかどうかが争われることがあります。

◆裁判離婚で親権者を決める主な要素

①子供の年齢

 最初の関門です。年齢が小さいと意思表示ができないため、母親が優先される傾向が認められます。

②子供の意向

 子供の年齢がある程度高くなると、当然子供の意向が重視されます。

③子供の現在の環境

 子供の年齢がある程度高くなると、現在の状態を変更しないことが、子供にとって良いという判断をされることが多い傾向にあります。

④子供の養育状況・養育能力

 子育てがどのように行われているかをみます。その際は、子供の実際の育成状況もみられます。
 親など親族が協力をしていても問題ありません。
 その他、経済力や住宅の状況なども考慮されます。

⑤子供の人数

 子供が複数いる場合、兄弟姉妹は分けないのが一般的です。

◆親権者を決めるための裁判所の調査

 調停を行う場合や裁判離婚の場合で親権が争われるケースでは、裁判所の調査官という人が、親・子供などとの面談等を行い、
 独自の視点から親権者を誰にするかという判断材料を「調査報告書」という形で裁判所に提供します。

   ◆親権者変更の申立て

 親権者を一度決めたものの、しっかりと子育てがされていないので親権者を変更したい場合の手続です。
 親権者を決める場合と異なり、必ず裁判所の手続(調停または審判)を使わなければなりません。
 詳しくは、最寄りの家庭裁判所にお問い合わせいただくか、弁護士にご相談下さい。

財産分与(年金分割)

★離婚後2年が経過するまでは請求できます!

結婚期間中に、夫婦で貯めたと評価される財産(夫婦共有財産)を分ける手続きになります。
財産が夫名義か妻名義か、あるいは妻が専業主婦であったかどうかとは必ずしも関係なく、
実質的に夫婦共有財産かが判断されます。
最近の分割割合は、ほとんどが1:1(双方が2分の1ずつ)です。

◆ポイントになる財産

①預金:

裁判等で最も重要なことは、預金のありかを知っておくことです。
弁護士に依頼、または裁判等を起こした後に、強制的に調べる方法もありますが、
預金のある銀行や支店が全く分からない状況では、調べきれないことがあります。

②株式等の有価証券

③自宅(および敷地):

住宅ローンが残っている場合、その処理が問題になります。自宅の現在の価値と住宅ローンの残債務の
どちらが多いか(オーバーローンか否か)、誰が債務者、連帯保証人になっているか、
誰が自宅に継続して住むのか等、事情により対応は様々です。

④退職金:

相手方が間もなく定年という場合は、退職金も結婚期間に応じて貰える場合があります。

⑤年金:

相手方が厚生年金に加入している場合、結婚期間に応じて、
厚生年金の一定の割合(多くは50%)を将来受給できる権利を取得できます。

慰謝料

★離婚後遅くとも3年以内に請求する必要があります!

夫婦の一方が、一定の行動に出たために、離婚に至った場合、離婚に伴う慰謝料を請求できるケースがあります。
単に性格の不一致などが原因で離婚した場合には、慰謝料の請求は認められません。

◆慰謝料請求ができる場合

①浮気・不倫

相手方が、夫婦以外の異性と「肉体関係を持つこと」とされています。肉体関係を持った確たる証拠の収集がカギになりますので、
相手方を問い詰めるなど行動に出る前に、弁護士に一度ご相談されることをお勧めします。
他方、夫婦の関係が破たんしているような場合(長い間家庭内別居が続いているなど)には、
例え夫婦以外の異性と肉体関係を持っても、慰謝料請求が認められない場合もあります。
請求できる相手は、不倫をした人(夫または妻)とその相手の異性です。

②DV(家庭内暴力)被害

DV被害にも程度がありますが、慰謝料請求が認められるためには、
被害の程度(暴力の強さなど。言葉による暴力も含みます。)が重たいことと、その証明がカギになります。
被害にあった場合は、しっかりと医師の診断書を取得したり、必要に応じて録音等を行うなどの対応が肝心ですので、
早めに弁護士にご相談いただくことをお勧めします。

◆慰謝料の金額

①浮気・不倫の場合

一般的には100万円から300万円が相場と言われています。
結婚期間や不倫の期間・原因、結婚生活への影響などにより金額は上下します。

②DV被害の場合

例は多くありませんが、数十万円という金額が一般的です。

養育費

◆養育費を請求できる理由

離婚をしたい、子供も引き取りたい(親権が欲しい)という場合でも、それが、専業主婦や、
子育てとパートを両立してきた方だった場合、すぐに子育ての費用を稼げるとは限りません。
他方、子供の親権を取れなかった親も、その子との間の親子関係が途切れるわけではありませんから、
子供の成長を助ける義務は残ります。
そのため、子供を引き取った親から他方の親に対し、一定の養育費を請求する権利が認められています。

◆請求できる金額

金額は、双方の話し合いで決めることができます。
話し合いで決着がつかない場合、請求する側が、調停・審判を求めることができます。
金額の決定は、主に裁判所が作成した算定表(※)に基づきますが、調停では、確実な支払いのために、
算定表よりも低額な金額で合意するケースもあります。また、算定表に基づく金額はあくまで一般的な基準ですので、
義務者が難病の親を援助しているとか、私立学校に子供が通っているなどの事情により、
算定表より金額が上下するケースもあります。

※算定表はコチラ(裁判所のホームページが開きます。)

http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/

算定表の見方は、①引き取る子供の年齢と人数に応じて「養育費」の表を選び、
②義務者(支払う側)と権利者(請求する側)の収入(いわゆる額面の金額)で縦軸と横軸を取り、
③それぞれの収入額のところから縦と横に線を引いていき線が交わった場所を、
養育費の基準とする形になります(詳しくは裁判所のホームページ)。

◆請求できる期間

子供が20歳になる月までとなるのが一般的です
(子供が複数いる場合は、子供一人一人で期間をずらして設定することになります。)
ただし、18歳までとしたり、大学の学費の負担を定めたりするケースもあります。

◆相手方が支払ってくれない場合の対応

相手方の財産を差し押さえる方法があります。
預金があれば預金を、不動産があれば差押えて競売にかけて売却代金を、取得するなどの方法があります。
また、相手方が正社員の場合、給料を差押える方法は非常に有効です。

婚姻費用

◆婚姻費用を請求できる理由

婚姻費用(婚費)とは、結婚して夫婦生活を送っていく中で生じる、すべての費用を指します。
そして、夫婦は、結婚をしている間、相手に自分と同程度の生活をさせてあげる義務を負っているため、
例えば、パートの妻と正社員の夫の夫婦で、夫が生活費を適切に入れてくれないような場合、妻は夫に対して、
生活費等を要求することが出来る(婚姻費用分担請求)、とされています。

◆婚姻費用の分担が問題となる主な場面

①同居中(主に家庭内別居の場面)で、夫(妻)が生活費を入れてくれない場合
②別居中(離婚調停・裁判中も含む)で、夫(妻)が生活費を出してくれない場合
⇒対策としては、婚姻費用分担請求の調停などを申立てる方法があります。
⇒調停や審判では、原則として、裁判所の作成した「算定表」(※)に基づき婚費の金額が決まります。

※ここでの算定表は、上記の養育費の算定表とは別ですが、表の見方は同じです。
算定表はコチラ(裁判所のホームページが開きます。)
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/

◆相手方が支払ってくれない場合の対応

相手方の財産を差し押さえる方法があります。
預金があれば預金を、不動産があれば差押えて競売にかけて売却代金を、取得するなどの方法があります。
また、相手方が正社員の場合、給料を差押える方法は非常に有効です。

面会交流

◆面会交流とは?

実際に養育をしない側(一般的には親権を持たない側)の親が子供と会ったり、電話をしたりして交流することです。
子供の福祉(子供の成長にとって利益がある)のために認められるものですが、
法律上は、実際に養育をしない側の親の権利として定められています。

◆面会交流を求める方法

別居中(離婚の調停・裁判中など)や離婚後、いつでも求めることができます。
話し合いができる場合、会う回数や時間、場所、方法などを決めます。
子供が小さい場合で、子供を育てている相手方が面会交流を拒否する場合、調停・審判を通じて、
面会交流を求めることができます。
離婚調停・裁判の継続中に、離婚についての審理と併せて面会交流の判断を求めていく例も多くみられます。

◆面会交流についての裁判所の判断

面会交流が求められた場合、子供の年齢・意見や実際に養育している親の意見、
面会交流を求める側の要素などを考慮して判断します。
事情によっては、家庭裁判所の調査官という専門家が親や子供と面談をするなどして、
意見を出し、裁判所がその意見を基に判断するケースもあります。
また、試行的面会という、調査官などが状況を観察できる裁判所内の特殊な部屋を使って親子の交流を行わせて、
判断材料を得る例もみられます。

夫(妻)の暴力(DV)から逃げたい

DV保護法に基づく措置
接近禁止の仮処分

ストーカー被害で困っている

最寄りの警察署への相談を最優先に行ってください。
ストーカー規制法に基づく対応をして貰える場合があります。
警察署が対応してくれない場合には、一度弁護士に相談されることをお勧めします。
事案によって、内容証明の送付による対処や警察署への働きかけを行います。

弁護士にいつ相談・依頼すべきか?

◆話し合いの順序

離婚やそれに伴う問題の解決は、まずは話し合いから始まります。
当事者同士だけ(もしくは親族を交えただけ)では話し合いが出来ない場合、
裁判所の(家事)調停という手続きを利用することになります。
それでも話し合いがまとまらない場合、審判という手続きに移行するか、
裁判を起こしていくことになります(どちらの手続きになるかは事件の中身次第です。)。

◆弁護士への相談・依頼

話し合いから調停までであれば、ご本人でも行うことができます。
しかし、以下のような場合には、早期に弁護士に相談または依頼されることをお勧めします。

・不倫を理由とする慰謝料請求等を行いたい(行われそうな)場合

・離婚を切り出された側で、自身の収入に比べて相手方の収入が低い場合

・相手とできるだけ接触をしたくない場合(DV被害の場合など)

・どうしても調停委員の言うことに納得が行かない場合

・相手方が弁護士を付けてきた場合

◆弁護士に依頼までする必要がない場合

単に離婚だけが争われている場合には、上で挙げた例の場合を除き、無理に弁護士に依頼する必要はありません
(心配であれば、市町村が行っている無料法律相談でも良いので、弁護士に相談だけでもしておくことをお勧めします。)。
当事者同士の話し合いはともかく、調停となると、多くの皆さんは裁判所に行かなければならないのかと緊張しがちですが、
調停は、市民の皆さんが利用しやすいように、家庭裁判所に専用の用紙(申立書)が用意されており、
裁判所の職員の方が、書き方など丁寧に教えてくれます。
調停を起こす家庭裁判所は、相手方の住所地の事件を扱う裁判所(管轄裁判所と言います。)になり、
裁判所のホームページで確認できます
http://www.courts.go.jp/saiban/kankatu/index.html